愛犬の結石
犬の尿結石や腎結石は、腎臓、尿管、膀胱あるいは尿道などに結晶や結石が出来る病気です。明確な原因は分かっていませんが、膣からの感染、ミネラルバランスの不均衡、ビタミン不足、食事内容、尿のペーハー、遺伝性などが原因として考えられています。

犬の尿/腎結石の種類
 1. ストルバイト結石
 2. シュウ酸カルシウム結石
 3. シスチン結石
 4. 尿酸アンモニウム結石


尿石症の場合は、結石の種類を把握しておくことが大切となります。
結石を構成しているミネラルの種類、そして犬の尿のペーハーが酸性かアルカリ性なのかを理解しておきましょう。

結石の種類により対処の方法が大きく事成りますので十分
ご注意下さい。


■ ストラバイト結晶尿って何?
ストラバイト結晶は別名 『リン酸アンモニウムマグネシウム尿』 と呼ばれていて、
その名の通り、『リン』 『アンモニウム』 『マグネシウム』 この3つが原因で結晶
が作り出されています。
 膀胱に溜められた尿の中には食事からとったいろいろな物が溶け込んでいます
が、リンとマグネシウムの含有量の多いごはんは従来排泄されます。
そこへ細菌感染が起こると膀胱中の尿素がアンモニウムに変化します。
 そして、リン・マグネシウム・アンモニウムこの3つが融合することによって砂状の
ような結晶ができあがります。
この結晶が膀胱中で粘膜を刺激し炎症を起こし、血尿や頻尿というような症状を
引き起こしていくのです。そこへ膀胱中でできた結晶が流れ出して尿道でつまり
尿の流れを妨げると、排尿困難により激痛が起こり、硬直したりして元気がないよ
うに見えてくるんです。
 そのまま多量の尿を膀胱中に溜め続けて、処置が遅れたりすれば腎後性腎不全
に陥り死亡してしまうこともある病気です。

結晶は…シュウ酸カルシウム結晶、ストラバイト(燐酸塩)結晶、シスチン結晶、
尿酸アンモニウム結晶といった具合に、それぞれ原因となる結晶成分が異なり
ます。尿検査により特定した上で治療に臨まないと、結石や結晶は消えません。
逆に尿中の結晶成分が特定できればその種類によっては食事による管理で結石
を小さくしたり、再発を防ぐことが可能です。そして結晶からできる尿石症とは、
泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができることで、閉塞、炎症が起こる症
状を言います。それらの中でも特に膀胱、尿道結石が多く発生します。

通常、肉食動物の尿は酸性に傾きます。そのためマグネシウムやリンが尿中に過剰にあったとしても結石は形成されません。しかし膀胱炎がきっかけとなって、尿のペーハーがアルカリ性になると、ストルバイト結石が出来やすい環境を作り出してしまいます。

ストルバイト結石の予防は尿のペーハーをできるだけ酸性に保つ事です。牛肉や鶏肉などの肉類とメチオニン豊富な卵などを中心とした食事にすれば、通常自然と酸性になります。しかし、野菜などの植物を基本とした食事を大量に与えられると尿のペーハーにも影響を与えます。犬では野菜を4割程度にする事が大切です。

クランベリー/メチオニンを与えて、尿を酸性にする
加糖のクランベリーは犬には駄目みたいです。十分注意してください。


●シュウ酸カルシウム結晶はカルシウムの摂りすぎ?

シュウ酸は野菜のアクとなる成分の一つで、犬にはストルバイト結石の次に発生が高い結石です。シュウ酸はほうれん草や小松菜などに特に多く含まれる成分です。
(食事に与える時は茹でてアクをとってから与えましょう)
シュウ酸は、腸管内でカルシウムと結合して糞となって排出されますが、充分なカルシウムが食事に含まれていないと、結合できなかったシュウ酸は体内へと吸収され尿中に排泄されます。尿中にカルシウムが豊富にあるとシュウ酸と結合して結石となってしまうのです。ほうれん草などシュウ酸が豊富な食材を与える時は充分なカルシウムを与えれば問題ありません。

尿路結石は、尿の中のシュウ酸とカルシウムが結びついて、石のように固まってできるのですが、シュウ酸は野菜のアクなど、多くの食品に含まれていますので、摂らないようにするのは難しいですし、カルシウムも不足すると骨粗しょう症を始め、いろいろな生活習慣病になる危険があります。
ところがなんと!逆にカルシウムをたくさん摂ると、尿路結石の予防や再発防止に役立つのです。
それは、カルシウムとシュウ酸が腸の中で結合して、水に溶けないシュウ酸カルシウムになるために、腸から吸収されずに便として排泄させてしまうからなのです。そのため、尿の中でカルシウムと結合して結石になるのを防ぐことができるのです。

充分なマグネシウムとカルシウムの給仕


尿酸アンモニウム結石

尿中に大量に排泄された尿酸とアンモニウムが結合して結晶を作ります。
高タンパク、特に内蔵類や獣肉類の多い食事を与えられていると発症しやすくなります。
ダルメシアンは遺伝的になりやすい犬種ですので、特に気を付けて下さい。

タンパク質を抑えた食事 エネルギー源として脂肪や穀類を利用



● シスチン結石

この結石は非常に少ない発生率です。これは遺伝的要因が大きく、ダックスフンド、チワワ、ブルドッグ、ヨークシャテリアはなりやすい犬種としてあげられます。特に雌よりも雄に主に見られます。